ぼくの修士論文(映画の原点)を全公開します!

そのままデータを抜粋しました!長文です!!!

ちなみに、映画の脚本にしたかったのですが、
教授に止められ、教育用の戯曲バージョンになってます。

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3章 勝浦町における桜の木をテーマにした戯曲化のこころみ

 第1節 台本の作成

 

登場人物

けん    主人公

そうた   けんの友人ー熱くなりやすい、建設業の社員

しょうぞう けんの友人ー冷静、職場のライバル、町会議員

はち    建設会社の社長

八郎    吉実のおじいさん

おばぁさん 吉実の亡き祖母

吉実    八郎の孫-けんの幼馴染み

田中    住民1

吉田    住民2

しょうた  田中の子ども

金子    役場の職員

 

工事現場のシーンはすべて暗闇の中で

 

田中    「洪水よ!」

吉田    「はよ逃げて!流される!」

田中    「しょうた!しっかり!」(子どもの手を引いている)

しょうた  「わーん!」(子どもの泣き声)

けん    「山田さんは逃げきれたんか?」

しょうぞう 「くそ!今回のは特にひどいな!」

そうた   「どうにかならんのか!毎回逃げるしかできん!くそ!」

      (洪水が収まる)

そうた   「大雨のたんびに家はびしょびしょ!田んぼはめちゃくちゃ!流された人も何人もおる!最悪や!どうにかできんのか!」

けん    「このままやったらわしらの町の未来はない!」

そうた   「町長や議員は何をしとんじゃ!このままだったらほんまにここら辺は終わってまうぞ!」

しょうぞう 「お役所が出す金では補修で精一杯らしい・・・。」

そうた   「そんなもん何とかできるんとちゃうか!」

しょうぞう 「・・・・・。」

けん    「今の状態では、この町は絶望の一途をたどるぞ!町を、町を変えていかな。だれかが何とかせないかん!」

しょうぞう 「・・・」(けんを見つめる)

      (全員舞台から、はける)

 

(場面は変わって事務所)

(事務所にはしょうぞうとそうたが待っている。)

けん    「しょうぞう・・・急に呼び出して話って何や?」

しょうぞう 「けん、聞いてくれ・・・、おれは議員になって、今までずっとこの町のために頑張ってきた。でも、限界を感じとった。やから、この町を何とかしてやるっていう信念をもったやつが現れるのを待っとった。」

そうた   「どういうことや?」

しょうぞう 「けん!議員になってわいと一緒にこの町救ってくれんか?!頼む!お前しかおらん!」

けん    「ちょ、ちょっと待ってくれ!わしに何ができるんな!石積みしかやったことないんやぞ!」

しょうぞう 「何をいうとんや!そんなもん関係ない!どうにかしたいと思わんのかこの町を見て!」

そうた   「どうなんや、けんちゃん。」

けん    「くやしいにきまっとるやろ!目の前で家が流され、田んぼがめちゃくちゃになっとる!黙ってられるか!」

けん    「でもわいに何ができるんや!」

しょうぞう 「けん・・けんはわいが困ったときいつも助けてくれた。」

そうた   「わいも助けられた!」

しょうぞう 「今度はわいらが住んどる町を救ってくれんか?けん!けんは自分がおもとるほど、何もできん人間やないぞ!困った人のために何とかしようといつも考えとるやないか!」

けん    「・・・」

しょうぞう 「この間の洪水の時、けんの『何とかせなあかん!』って言葉聞いておもったんや!こいつならやってくれるって!」

そうた   「そうや!わいもそう思う!けんちゃんならやれるわ!」

しょうぞう 「頼む!けん!議員になってくれ!」

けん    「・・・・・」(しばらく考え込んで)

けん    「・・わかった・・・。今のわいに何ができるかわからんけど・・。この町を何とかしたい言う思いはお前らと同じや!何とか、何とかやったるわ!」

そうた   「ほれでこそわいらのけんちゃんじゃ!」

しょうぞう 「ありがとう、けん!」

そうた      「そうときまれば早速準備やの!・・・しょうぞう!けんちゃん!わいも手伝うから何でも言うてくれ!」

しょうぞう 「おう!」

けん    「そうた。ありがう!」

      (全員、はける)

      (暗転)

 

      (けんが議員に当選するシーン)

加藤・田中 「バンザーイ!バンザーイ!おめでとうけんちゃん!」

けん    「ありがとうございます!ありがとうございます!」

そうた   「ついに、ついになれたんやな。議員に!」

しょうぞう 「けん、これから町会議員としてあの川を、この町をどうにかしていこうな。」

けん    「ありがとう!お前らのおかげじゃ!これからは、川の改修工事のため、町のために死に物狂いでやったるで!協力頼むぞ!」

そうた・

しょうぞう 「任しとけ!」

      (全員、はける)

 

     (改修工事のシーン1)(事務所)

けん    「そっちをもっと広げられんか?」

金子    「え?ここはもう、限界ですよ~。」

けん    「限界ってだれがきめたんな!できんじゃなくて何とかするんや!そうでないと被害は食い止められへんのやぞ!」

金子    「わかりますけど、ここは、がんこで有名な八郎さんの土地があるんですよ。あの人だけは昔からずっと交渉してますけど、どうにもできませんよ。」

けん    「八郎さんは昔からお世話になっとる。事情説明すれば絶対協力してくれるはずや!やらずに、あきらめて町の被害にあってる人たちを見殺しにするわけにはいかんやろ!」

金子    「・・・でも何度言っても何にも聞いてくれんのんですよ。」

けん    「あの人・・・おばぁさんを亡くしてから心閉ざしたままやからな・ ・・・わかった。わいが何とか説得してみる。」

(けん、はける)

 

(住民が事務所に押しかけてくる)

加藤    「河川の工事はどうなってるんですか!もうすぐ台風がせまってきよるんですよ・・・うちはボロボロで、今度被害に遭ったら、ほんまに、家はもう・・・・・。」

田中    「私ら、けんさんがやってくれる言うたから、応援してきたんよ!約束が違うやないの!!」

金子    「まぁまぁ、落ち着いてください。私らは、改修工事に向けて精一杯頑張ってるんです。計画は順調に進んでますから!」

加藤    「口でなく行動で示してほしいんです!私らの生活がかかっとるんですよ!」

田中    「台風はいつ来るか分からんのんです!うちの子はまだ小さいのに。もし流されでもしたら・・・。」

金子    「わかってます! わかってます!一刻も早く工事ができるように死ぬ気でやってますんで・・・わざわざ来ていただいてありがとうございます!かならず、かならず先生には伝えときますから!」

加藤・田中 「頼んだでよ!」

金子    「はい!」      

(加藤・田中、はける)

金子    「ふ~!ほんとに早く進めていかんとえらいことになるなぁ。」

 

      (けんが八郎を説得するシーン)(八郎の家の玄関の前)

けん    「こんにちは、お邪魔します。」

吉実    「はい、・・・けんちゃん!最近頑張ってるみたいやね。どうしたん?」

けん    「吉実か。八郎さんおるか?」

吉実    「ちょっと待ってよ。・・・おじぃ~ちゃ~ん。けんちゃんが会いに来てるよ。」

八郎    「・・・・」

吉実    「おじぃちゃん?・・・まぁあがって。最近だれとも会いたがらないのよ。とにかくあがって。」

けん    「あぁ。」

(八郎の部屋へ行く)

けん    「失礼します。八郎さん、けんです。ちょっとお話があってお邪魔さしてもらいました。」

八郎    「あの土地は譲らんぞ!」

けん    「まだ何にも言うてないですよ~。」

八郎    「なんや違うんか。」

けん    「いや、その話ですけど・・・」

八郎    「おうとるやないか。」

けん    「八郎さん。たのんます!川の改修工事にあの場所を通るのが一番最適なんです。町のために、みんなのために協力してください!お願いします!」

八郎    「なんぼ町のため言うても、あの土地は簡単に譲れるような土地やないんや。けん。お前もわかるやろ?」

けん    「わかります!でも、・・・八郎さんの一言でみんなの命が助かるんですよ!」

八郎    「!」

八郎    「そんなことわかっとるわ!」

八郎    「あの土地はわいとばぁさんが命がけで守ってきた土地じゃ!」

八郎    「先祖代々続く土地を簡単に手放せると思うか?」

けん    「土地と、先祖代々の土地とみんなの命、どっちが大事なんですか!」

八郎    「・・・もういい帰れ!」

けん    「ちょっと待ってください!」

八郎    「帰れ言うとるだろ!!」

      (八郎激しく追い返す)

けん    「・・・わかりました。でもかならずまた来ます!八郎さんに了解もらうまで!」

けん    「・・・失礼します!」

(けん八郎の家をでる。

(八郎の家の玄関の前)

吉実    「けんちゃん・・・、話・・・聞いてたよ・・・。」

けん    「吉実・・・。」

けん    「聞かれとったかぁ・・・。えらいとこ見られてもうたなぁ」

吉実    「大丈夫!おじいちゃんは、あぁ言ってるけど、けんちゃんの気持ち絶対伝わってるよ。でも・・・。」

けん    「でも?」

吉実    「先祖代々の土地を守ることがどんなに大変か理解してあげて。私も小

さいときはわからなかったけど、今こうして暮らしていけるのは、お

じいちゃんがずっとあの土地を守ってくれたからと思うし、おじいち

ゃんは先祖の人に対してそう思ってると思うの。」

けん     「そうかぁ・・そんなことも知らんとおれは・・・・。」

吉実     「でもけんちゃん、けんちゃんがやってることは間違いじゃないよ。」

けん    「・・・。」

吉実    「毎日毎日、現場に足はこんで町のために動いてくれてる・・。」

けん    「まだ、まだ何にもやってへんよ・・話し合いだけや・・何一つ実行できてへん・・・情けないわ・・・。」

吉実    「何言うてるの。頑張ってるけんちゃんにみんな絶対感謝しとるよ!」

吉実    「私もみんなも応援してるから!そんな暗い顔せんと頑張って!」

けん    「・・・・ありがとう!まさかお前に励まされるとはな、あの泣き虫吉実が・・・成長するもんやな人間。」

吉実     「泣き虫は余計よ!でもほんとに頑張ってね!あきらめたらあかんよ。」

けん      「わかってる。ありがとうな!またくるから八郎さんにはよろ      しく言うといてな!」

吉実    「うん!ほなまたね・・・・。」

けん    「おぉ!」

(けん、はける)

 

(八郎1人になって考えるシーン)(八郎の部屋)

八郎    「ばぁさん、わいはどうしたらいいんなぁ。」

八郎    「あの土地は、わいと死んだばぁさんがずっと世話して守ってきた・・簡単に譲れるもんやない・・・そうやな?」

八郎    「ばぁさん。」

吉実    「おじいちゃん・・。」

八郎    「吉実か・・・。」

吉実    「・・・。」

(おばぁちゃんの写真を見ながら・・・)

吉実    「おばぁちゃん、いつも笑ってるね・・・とても幸せそうに・・。」

八郎    「何があっても笑って励ましてくれてなぁ・・・この笑顔に何度救われたか・・・。」

八郎    「あの土地はわいとばぁさんが、死に物狂いで守ってきた大事な大事な先祖代々の土地じゃ・・・。あの土地はわいの誇りでもある!」

吉実    「うん・・・。」

八郎    「・・・・。」

八郎    「今日はもう疲れた・・。寝る・・・。」

吉実    「そう・・。おやすみ。風邪引かないでね・・。」

八郎    「・・・・。」

(吉実去って行く)

八郎    「ばぁさん・・・。吉実は優しいのぉ・・・・。こんなに大事にしてくれる・・・。」

八郎    「・・吉実のために・・・・。これからわいができること・・・。」

(写真が光だす)『ピンスポットか懐中電灯』

おばぁさん 「そうよ。・・・先祖代々の土地も大事。・・・でも、これからの子どもたちのためにできること。・・・それが、先祖のためにもなるのよ・・・。」

八郎    「・・・・ばぁさん!」

おばぁさん 「ふふ・・・おじいさん相変わらず怒りっぽいのね。・・・・ふふ、孫の前では優しいのに・・・。」

八郎    「あ、あ、・・・。」

おばぁさん 「けんにも優しくしてあげてね・・・・。あんまり怒るとしわが増えますよ、ふふ。」

      (おばぁさん、はける)

八郎    「待ってくればぁさん!」

八郎    「ばぁさん!」

      (暗転)

(翌朝)(八郎の部屋) (徐々にライトアップ)

八郎    「ばぁさ・・。」

(起き上がる八郎)

八郎    「夢・・・・か・・・・。」

(外を見て、写真を再び見る)

八郎    「今日は・・・・ええ天気やなぁ・・・。」

(吉実が起こしに来る)

吉実    「おはよう!おじいちゃん!」

八郎    「おはよう。」

吉実    「今日はとってもいい天気よ!朝ごはんできてるから、一緒に食べよ!」

八郎    「・・・・。」

吉実    「どうしたのおじいちゃん・・。まさか、おばぁちゃんが夢に出てきたとか・・・。」

八郎    「・・・・ふふ、お前もばぁさんに似てきたなぁ。・・・元気なとこなんかそっくりじゃ。」

吉実    「ほんとに?」

八郎    「吉実。・・・ご飯が終わったら・・けんに電話してくれんか?」

吉実    「え?・・・・・・いいよ!」(笑顔で答える)

(二人はけて行く)

      (昼 改修工事のシーン2)(事務所)

 (議員のしょうぞうが駆け込んでくる)

しょうぞう 「けん!あかん。この改修工事とバイパス計画うまくいかんぞ!」

けん    「どないしたんなぁ!」

しょうぞう 「なかなか工事始めれへんから、県から計画打ち切りの話がきてるんや!」

けん    「もうちょっと、待ってくれへんのか!」

しょうぞう 「あかん!今日までに書類をもってこい言うとった・・・どう考えても間に合わん・・・。・結局おれらは何もできへんのんか!」

けん    「・・・・・あきらめるんはまだ早い。何とか八郎さんを説得してみせる!しょうぞうもついてきてくれ!」

(電話が鳴る)

金子    「けんさん!八郎さんのお孫さんからお電話です!」

けん    「え!?ちょうどいい!・・・もしもし・・・え?ほんまか!ちょうど良かった。今行くとこやった・・今すぐよらせてもらうことできるか?」

けん    「ありがとう!すぐ行くから、よろしく伝えといてくれ!」

けん    「八郎さんから話があるらしい!・・とにかく行くぞ!」

しょうぞう 「おお!金子さん後任せた!」

金子    「え?え?あ、はい!」   

(けん、しょうぞうはける)

 

(八郎さん宅){そうたも合流}

けん    「何でお前もおるんや?」

そうた   「いや、吉実に呼ばれて急いで来てって言われたから・・・。」

けん    「まぁええわ!行くで!」

そうた・

しょうぞう 「おぉ。」

けん    「失礼します。」

そうた・

しょうぞう 「失礼します。」

八郎    「まぁ座れ・・・。」(座っている。)

けん    「はい・・・。」(けん・しょうぞう・そうた座る)

八郎    「・・・けん・しょうぞう・そうた。」

けん・

しょうぞう 「はい。」

・そうた  

八郎    「1つだけ、1つだけ聞かしてくれ。・・・お前ら、・・この町が好きか?」

けん    「え?」

八郎    「好きか?どうや?」

けん    「小さいときからいらんことやってしかられてばっかりでしたけど、・・・わいは、わいはこの町・・・いや、この町も、住んでる人も大好きです!」

しょうぞう 「わいも・・・なんやかんや、言われてきたけど、やっぱりこの町は大好きで、わいの宝もんです!」

そうた   「わいも!けんちゃんとしょうぞうとずっとこの大好きな町で暮らしたいと思ってます!」

八郎    「・・・そうか、そうか・・・。」

けん    「八郎さん!無礼を承知で言います!わいらに、わいらに賭けてくれませんか?このとおりです!」(けん土下座する。)

そうた・

しょうぞう 「お願いします!」

八郎    「・・・・・・頭を上げぇ、けん・しょうぞう・そうた。お前らの覚悟はよぉわかった。町に対する思いもよぉ理解できた。」

八郎    「けんよ・・・。」

けん    「はい・・。」

八郎    「今回の件全部お前に任せる。」

けん    「え?」

八郎    「けんど・・・・1つだけ・・・1つだけ、わしに約束してくれ・・。」

けん    「はい!」

八郎    「今住んどるやつはもちろん、これから生まれてくる子どもたち、その子らのためにも・・・・・絶対に、・・・・絶対に成功させてくれ、これはわしと死んだばぁさんの、そして、先人たちの願いじゃ・・・。」

八郎    「・・・・・・約束できるか?」

けん    「・・・ぁぁぁ・・・・はい!」(感極まって)

八郎    「お前らもじゃ。」

しょうぞう

・そうた  「はい!」

(八郎にこっと笑う)

けん    「約束します!約束します!!絶対、絶対成功させます!・・ありがとうございます!ありがとうございます!・・ありがとうございます・・・ぅぅ」

しょうぞう 「やったな!けん!」

そうた   「良かったなぁ!けんちゃん!」

けん    「ありがとう・・ありがとう・・・・」

しょうぞう 「よし!書類まとめてすぐ金子さんとこにもっていくぞ!けんはおってくれ!わいとそうたで行って来る!行くぞ!そうた!」

そうた   「おぉ!」

(二人はける)

八郎    「・・・ええ友達をもったのぉけん。」

けん    「はい!わいの自慢の友達です!」

(吉実は玄関口で泣いている)

(暗転)

 

(改修工事のシーン3)(事務所)

(夕方)

金子     「けんさん!不動産鑑定士の書類、無事県に提出してきました!これで工事進められます!」

けん     「ようやってくれました!ありがとう!ほんまにありがとう!」

そうた    「よっしゃぁ!すぐにでもとりかかるで!」

はち     「もう準備はできとるぞ!」

けん     「え?何で、はちさんが?」

(はちみんなのところへよってくる)

そうた    「へへ。すぐ始めれるように、わいから社長に話はしといたんや。」

けん     「ほんまか?ありがとう!はちさん!現場の指揮よろしくお願いします。」

はち     「任しとけ!けん!事情はそうたから聞いとる。若いもんは別の現場に取られておらんが、あとは現場一筋30年のこのわいに任しとけ!」

けん     「ありがとうございます!」

そうた    「やっと進めるな!あとは、前進あるのみや!」

しょうぞう  「そうた~。たまにはやるなぁ。」

そうた    「へへ。だれがたまにじゃ!いつも頑張っとるわ!」

けん     「よーし!人手が少ない分みんなで手伝うで!みんなの願いかなえるでぇ!」

一同     「おぉ!」

(全員はけて行く)

 

      (次の日)

  (改修工事のシーン4)(工事現場)

はち     「そろそろ休憩しよかぁ。そうた・・・しょうぞう・・・けん。」

金子     「そうですよ・・・もう朝から休みなしじゃないですか。」

けん    「そっちの石組みをしっかりさせよう。」

そうた   「そうやな、ここはかなり圧力かかるからな。」

しょうぞう 「今日中にしっかり組んどかんと雨が降ってくるからな!」

はち    「あかん、聞こえてへんなぁ・・・。」

金子    「しかし、よう体もちますねぇ。」

はち    「それだけ、この工事にかける思いが大きいっちゅうこっちゃ!わいらも負けてられへんなぁ!行くぞ!」

金子    「ちょ、ちょっと待ってくださいもう8時間休みなしですよ~・・・・もう。・・というか何でぼくまで手伝ってるんですか?」

そうた   「この雲行きやと明日が本格的になりそうやな!」

けん    「その前に、仮につくった川に逃せるようにしとこうや!」

そうた    「よっしゃ!ここまで造ってんのに、流させるわけにはいかんからな!」

しょうぞう 「ここまでしても、流されるなんてことはないよな?」

はち    「どうやろなぁ・・・今まで、何度も工事に失敗をしてるだけに、絶対ということはないかもしれへんな。」

金子    「何を心配しとるんですか~ここまで、やっとるんですから、2日も、3日ももつでしょ!考え過ぎですよ~!」

けん    「・・・・いや、しょうぞうとはちさんの言う通りや。油断はできん。しっかり組んどこう!」

そうた   「時間がない!さぁやろうで!」 

金子    「そうですかぁ?まぁ・・・備えあれば憂いなしって言いますもんね。ささっとやっちゃいましょ!」

       (全員、はける)

      (嵐のシーン1)(事務所)

(ドンドンドン!)戸を叩く音

けん    「どないしたんや?」

しょうぞう 「大変や!けん!そうたが、この台風で、工事現場が崩されるぅいうて夜中に飛び出して行きよった!」

けん    「なんやて!こんな大雨の中出ていくんは自殺行為やぞ!」

けん    「行くぞ!」

しょうぞう 「あぁ!」

(工事現場に向かう)

 

(嵐のシーン2) (工事現場)

しゅうぞう 「いた!あそこや!」

けん    「そうた~!無事かぁ!」

そうた   「大丈夫や!心配いらん!ちょっと弱くなったとこ補強しに来ただけや!」

けん    「1人で行くなぁ!危険やろ!」

そうた   「すまん!もう終わるわ!」

けん    「待っとけ!今、そっち行くからな!」

しょうぞう 「けん!川の水の量見てくれ!危険やぞ!」

けん    「!」(川の様子を見る)

けん    「そうた!はよもどれ!さらに増水してるぞ!」

そうた   「え?!」

しょうぞう 「あかん!足場が崩されてきとる!」

しょうぞう 「早よ帰って来い!死ぬぞぉ!」

けん    「しょうぞう!わいの体に縄を巻きつけてくれ!」

しょうぞう 「1人で行く気か!」

けん    「お前泳がれへんやろ!早よせい!」

しょうぞう 「わかった!」

けん    「縄離すなよ!」

しょうぞう 「死んでも離すか!」

けん    「そうた!今行くぞ!」

       (全員、はける)

 

      (改修工事のシーン5)(絶望)(工事現場)

しょうぞう 「ようやく晴れよった!何事もなかったような顔しやがって!」(空を見ながら)

そうた   「けんちゃん・・助かった・・・ありがとう。」

けん    「気にするな、無事でなによりじゃ・・・・けど。」

しょうぞう 「どないなっとんねん!せっかく半年もかけて組んできた工事が台無しや!」

そうた   「くそ!・・・守りきれへんかった!今までの苦労は何やったんや!」

しょうぞう   「今までの頑張りも、時間も、お金も全部パァや!何でこんなことになるんや!」

けん      「八郎さんや町のみんなに申し訳がない・・あんなに協力してくれたのに・・・・。」

      (けん がっくりとひざを落とす)(3人ともうなだれる)

そうた    「もう・・おしまいや・・何もかもおしまいや・・・。」

そうた    「やっぱりわいらの力ではどうすることも・・・・・・。」

そうた    「ぐぁ!」

しょうぞう  「もう一回言うてみぃ!」

そうた    「何ぼでも・・・言うたるわぁ!」

しょうぞう  「ぐぁ!」

そうた        「あんなに頑張ってやったのに結局水に流されてしもうたんやぞ!これ以上どうしたらええ・・ぐぁ!」

しょうぞう  「おまえぇ!」(なぐりかかる)

しょうぞう  「もうあきらめるんか!こら!立て!こ・・・・」

けん     「もうやめぇや!」

しょうぞう 「こんなとこであきらめるんか!」

けん    「しょうぞう!やめやぁ!」

しょうぞう 「ほれこそ、支えてくれた人に申し訳ないやろ!!」

そうた   「もう無理なんじゃ!わしらには!」

しょうぞう 「無理やと?何をぬかしとんなぁ!もう一回最初からやったらええやないか!」

そうた   「ほんならどうしたら・・・・・ええんな!」

(そうた、しょうぞうをなぐる)

しょうぞう 「っつ!のやろう!」

(しょうぞう、そうたをなぐる)

けん    「しょうぞう!やりすぎや!やめとけぇ!!」

しょうぞう 「あぁ!」

けん    「熱くなり過ぎや!」

しょうぞう 「離せ!離せや!くそ!けん!何で、何でそんなに冷静なんや!お前は!」

けん    「わいもくやしいわ!けど、今はそんな場合やないやろ!」

『どかっ』(しょうぞう、けんをなぐる)

けん    「ぐはぁ!」

しょうぞう 「くそっ!何でいつも、お前そうなんじゃ!大人振りやがって!」

けん    「んじゃこら!」

しょうぞう 「ぐはぁ!」

      (3人のけんかに発展)

しょうぞう 「はぁはぁはぁ!」

そうた   「はぁはぁ!」

けん    「はぁくっそ!疲れたぁ何をやっとんやわいらは~」

      (3人とも寝転って空を見上げる)

しょうぞう 「・・・」

けん    「・・・」

そうた   「・・・」

けん    「もっかい・・・もっかいやってみいひんか?・・・ここで、ここであきらめたら絶対後悔する。」

しょうぞう 「・・・・あぁ。」

そうた   「そやな。」

       (三人、はける)

 

台詞なしで、1シーンずつ流れるように『暗闇の中、音声だけで』

(ゼロから出直し)

(資金集め)

(工事の再開)

(何か吹っ切れた3人)

(それに刺激を受けるはちと金子)

(幾度の失敗を重ねるが少しずつ完成に向かっていく・・・・)

 

(改修工事のシーン)(完成)(工事現場)

はち    「よっしゃ、そっちをもって」

そうた   「よっ!」

そうた    「このブロックはめ込んで完成じゃ!」

けん     「わいにも手伝わせてください。」

しょうぞう 「わいも!」

けん・

そうた・  「せーの!」

しょうぞう

・はち   

(ブロックが入る)(改修工事の完成)

そうた    「長かった・・・。」

けん        「みんな見てくれこの川を!あんなに怖い顔しとったのにこんなにき

れいやぞ!」

そうた   「ほんまやな!ほんまやな・・・。めちゃくちゃきれいやな!」

しょうぞう 「そうた・・・。」

はち    「どないしたんなぁ!」

そうた       「泣いてないで!雨やで!雨が降ってきたわ!それも今までと違う先人

からの祝福の雨や!」

けん    「そうた・・・わしら、わしらついにやったんやな。」

そうた    「おぉ!やったんや。」

そうた     「これで、これで町の被害がなくなる!あの、苦しみから解放されるん

や!」

しょうぞう 「あぁ!家も、田んぼも、人もみんな流されへん!」

けん     「先人のみなさん!やりました!わしらついにやりました!八郎さん、

吉実!みんな、みんな・・・やりましたよ!」

けん    「ありがとう!ありがとう!お前らのおかげじゃ!わし1人やったらこ

こまでこれんかった。あんときの一押しがわしの力になったんじゃ!」

そうた   「何をいうとんねん。」

しょうぞう  「けんがもともともってた力を発揮しただけや。」

そうた    「そうやぁ。まぁでも気づかせたんはおれらやし、ほうしゅうはたんま

りもらうけどな!」

けん    「どういうことやねん。」

しょうぞう 「最近、えらい良さそうな飲み屋がとなり街の方にできたらしい!」

けん    「それがどしたんや?」

そうた   「・・・・予約してきた!ごっそさん!けん!」

しょうぞう 「いやぁ!ありがとう!けん!いや、けん先生!」

けん    「おまえらぁ。」

はち    「わしらもええかぁ!なぁ?」

金子    「はい!よろしくお願いいたします!けん大先生様!」

けん    「はぁ?いやいや、言ってる意味が・・・。」

そうた   「さぁ今日はとことん飲むでぇ!」

けん以外  「おぉー!」

けん    「・・・・ぁあもうわかった!行くぞ!」

      (みんな顔を見合わせて)

けん以外  「よっしゃ!」

そうた   「そうと分かればこっからはわいが仕切らしてもらうでぇ!」

はち    「おっ!ええぞ!ええぞ!」

しょうぞう 「仕事はいまいちやけど・・飲み会だけは別やな、お前は!」

そうた   「いまいちってどうぉいうことやねん!しょうぞう!」

けん    「お、聞こえとったか~!ほんまのことやからしょうがないやん!」

はち    「ぷ。」

金子    「ふふ。」

けん    「っぷ。」

一同    「ぶははははは!」 

八郎    「・・・ようやった。ほんまにようやってくれた。」

      (けん、八郎に気づき深々と頭を下げる)

 

      (桜の木を植えるシーン)(工事現場)「少しだけ明るく」

けん    「この桜の木には先人たちの平和への思いとわいらの町の発展を願う思いがこもっとる。」

しょうぞう 「子どもらがこの桜の木を見て、少しでもわいらの気持ちがわかってくれたらええなぁ。」

そうた   「最高や!」

はち・金子 「・・・。」(微笑んでいる)

けん    「よっしゃ植えるでぇ。」

しょうぞう 「そうた!そこはわいが植えたとこやぞ!」

そうた   「ありゃ!先に言うてくれな!五つも植えてしもうたわ!」

しょうぞう 「五つ!?桜は一つ一つ距離を置いて・・・。」

はち    「まぁまぁ落ち着いて、楽しく植えようやぁ!」

しょうぞ  「はちさんは黙っといてくれ!そうたには ちゃんと言うとかな!」

けん    「しょうぞう、そんなお前も新しい苗ふんずけとるけど?」

しょうぞ  「あぁ?あ、ほんまじゃ。」

はち    「ふ。」

そうた   「しょうぞう~!人のこと言えんのぉ~。」

けん    「ぷふ。」

しょうぞう 「お前~!」

そうた   「あいた!叩いたなぁ!」

しょうぞう 「お前が悪いんじゃ!」

そうた   「許さん~!」

しょうぞう 「あたるか~!よっと!」

けん    「もうやめと・・あいた!」

そうた   「あ・・・・。」

けん    「お・ま・え・ら~!」

そうた   「やばい!」

しょうぞう 「にげぇ!」

けん    「まてこらぁ~!」

はち    「ほんまにあいつらは仲ええのぉ~。」

金子    「ほんまですねぇ!あの3人見てるとちょっとうらやましく思えたりして・・・。」

はち    「そうやのぉ~!」

金子     「でも!はちさんには私がついてますよ今後ともよろしく頼みますよ。」

はち    「はぁ?何でやぁ?」

金子    「ええ~!どういうことですか!あんなに苦労を共にしたやないで     すか!」

はち    「・・わかったわかった(笑)」

金子    「ほんとにもう頼みますよ~。」

はち    「おい!どうでもいいけど・・・あいつら帰ってこぉへんぞ・・・・。」

金子    「・・・・ほんまですねぇ・・。」

はち    「・・・・おい!はよ帰ってこんかい!わいと金子二人で植えとるやないか!・・・お前らぁ、サボる気ぃやな!」

(端っこで見ている3人!)

けん・

そうた・  「ばれたぁ~!」

しょうぞう 

はち    「まてこらぁ~。」

(金子1人残る)「金子にピンスポ」

金子    「ふふ・・・・まるで子どもやな~。見てください先人のみなさん。みなさんが守り抜いてきた小さな小さな宝物が、みなさんの夢をかなえましたよ。そして今度は彼らの宝物が夢の続きをかなえていってくれることでしょう。・・・安心して見守っててくださいね。」

 

   (暗転)

 

 

みなさんのアドバイスで、
映画用に変更できるとありがたいです😭